行く秋



朝夕めっきり冷えてきました。
そんな秋の終わりの時季、「行く秋」について書かれています。



美しい日本の季語より


秋の終わりを表す言葉です。
「秋行く」「秋過ぐ」ともいいます。
 実り多く収穫を終えた田畑。
草花や紅葉などで彩られた山野。
さまざまな場面に豊かさを見せた季節が終わろうとする情景を感じさせます。





四季の中でも春とともに去り行くことがとりわけ惜しまれる季節です。
「秋の名残」ともいいますが、
ことさら秋は寂寥感あふれる装いに変わります。





冬を迎える準備が進むにつれ、
行楽に出かけることも少なくなります。
風の冷たさも日を追うごとに増し、
家で過ごすことが多くなる中で、
ふと窓を見上げ、枯れ葉が奮うさまに過ぎ行く秋を見つける時期です。
秋の行方を見送る感慨深さが感じられます。





行くあきや手をひろげたる栗のいが


  松尾芭蕉