51と五十一

miyasun2008-12-25



懇意にして頂いている、
池田学園副理事長の
池田真実先生から
学園の教育誌「学び」を何時も贈っていただいております。



その第32号に掲載された、
ご本人が書かれた文章は素晴らしいものでした。
そこで早速了解を頂きましたので、
ここでご紹介させていただきます。



「51と五十一」


イチローの使っているバットは普通のバットより太いが、細いか」と聞かれたら一も二もなく「太い」と答えるだろう。
あれだけヒットを量産し、三振の少ない選手なのだから。
ところが、答えは「細い」だ。



太いバットだと確かにボールがあたりやくすなるが、
芯をはずすと凡打になりアウトになる確立が高くなる。
一方細いバットの場合、芯をはずすとファールになりやすく、もう一度打つチャンスができるからだ。
もちろん、この細いバットを使いこなすには高い技術を要するわけだが。



ところで、このイチローのバットを作っているのは
久保田五十一(いそかず)さんという職人さんだ。
オリックス時代の二年目以来ずっとイチローのバットを手がけている。
イチローのことだからきっとバットにこだわりがあり細かな注文があるのだろうと思いきや、最初の注文以来、寸法、重さは全く変わっていないそうだ。
だから久保田さんにバットのことで連絡が入ることはない。



ところが、ある日、イチローから久保田さんに電話が入った。「打った後にバットを投げてしまった。申し訳ないことをした」というお詫びの電話だった。
久保田さんの気持ちを痛いほど理解しているからだろう。



イチローが普段から道具を大事に扱い、入念に手入れをするというのはよく知られた話である。
打った後にバットを置くようにして走るイチローの姿からもその姿勢が窺える。
イチローのあの大記録はこういった「人の心を大事にする」「ものを大事にする」気持ちに根ざしたものに違いない。



それにしても、久保田さんの名前の五十一とイチローの背番号51が奇しくも同じだということに不思議な縁を感じずにはいられない。






池田真実先生、ありがとうございます。





写真は今朝のものです。